小名 毅
研究タイトル
折り返し階段の死角が歩行者の精神的負担に与える影響
研究タイトル
折り返し階段の死角が歩行者の精神的負担に与える影響
研究成果
人の昇降を目的として設置される建築要素の一つに階段がある。階段は住宅などの私的空間に限らず、駅、オフィス、公園など公共施設や公共空間にも広く設置されており、建物の用途や設置場所に応じて、寸法や形状、種類は様々である。
しかし、階段に関する基準が定められているにもかかわらず、階段での事故は数多く発生している。階段での転倒や転落事故は、骨折や頭部外傷などの重篤な結果を招く可能性があり、その予防は課題となっている。これは、属性や年齢を問わず、利用者自身が注意をしながら歩行するだけではなく、階段環境そのものの改善が有効であり、転倒・転落事故やヒヤリハットを未然に防ぐことで対策できると思われる。
折り返し階段を歩行する際、他の歩行者との関係によって起きる驚きが、見通しが悪く死角となる壁が存在する階段において生じる場合がある。視認の遅れを引き起こす折り返し階段の内側の壁形状は、直接的に転倒、転落といった事故を引き起こすものではないものの、利用者の精神的負担の低減という観点からは、改善をするべきであると考えられる。
そこで本研究では、仮想環境技術と皮膚電位計を用いて、折り返し階段の手すり壁の高さと、階段を下る歩行者に対する精神的負担との関係を検証した。実験結果の定量的分析により、驚愕反応である精神的負担が抑えられる壁形状に資する知見を得ることを本研究の目的とする。
実験Ⅰでは、折り返し階段の内側の壁(踊り場からの壁の高さ700mm,900mm,1100mm,2400mm(死角壁))と階段を下ってくる人型アバター(1.3m/s ,0.9m/s ,出現無し)を変数とし、実験参加者には階段を上る映像を体験させ、その際の皮膚電位反応を計測した。
実験の結果、以下の知見を得た。
歩行者の存在は驚きを増大させる要因であり、その影響は視界遮蔽の大きい死角壁で顕著に現れる
死角壁の条件よりも手すり壁の条件の方が、歩行者の存在による驚きを抑えられる
解説動画: