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輪読会で紹介された論文のまとめ
2021
2021
1220
Kondo, R., Tani, Y., Sugimoto, M., Inami, M., Kitazaki, M.: Scrambled body differentiates body part ownership from the full body illusion, Scientific Report, Vol.10,No.1, pp.1–11, 2020.3.(担当:吉岡陽介)
- 仮想環境内の手足を現実の身体と同調させて動かすことで、手足の「所有感」を誘導できる
- 身体各部の「所有感」と全身の「所有感」の誘導機序は異なる、と仮説を立て実験を実施
- 手足のレイアウトを、「通常配置」と「スクランブル配置」の2水準とする実験方法を開発
- スクランブル配置では、全身の「所有感」は生じないが、身体各部の「所有感」は生じる
- 皮膚コンダクタンスには有意差なし。アンケート回答のみで論旨を組んでおり追証の余地あり
1213
Lacaux, C., Andrillon, T., Bastoul, C., Idir, Y., Fonteix-Galet, A., Arnulf, I., Oudiette, D.: Sleep onset is a creative sweet spot, Science Advances, Vol.7,No.50, pp.5866, 2021.12.(担当:吉岡陽介)
- ノンレム睡眠の第一段階(N1)における脳活動が、「ひらめき」を誘導するかどうかを検証
- 算数課題を被験者に解かせ、その課題を瞬時に解く「ルール」に気づくかどうかを計測した
- 浅い睡眠のN1状態が15秒間持続した被験者では、「ルール」を発見する確率が3倍になった
1206
Will, P., Merritt, E., Jenkins, R., Kingstone, A.: The Medusa effect reveals levels of mind perception in pictures, Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, Vol.118,No.32, 2021.8.(担当:土岐美穂里)
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1129
Pleyers, G., Poncin, I.: Non-immersive virtual reality technologies in real estate: How customer experience drives attitudes toward properties and the service provider, Journal of Retailing and Consumer Services, Vol.57, 2020.11. (担当:伊能良太)
- 非没入型仮想環境技術が不動産における顧客体験に与える影響の検証
- 建物や不動産仲介業者に対して、よりポジティブな印象を与えた
- 不動産業にとどまらず、商品とサービスが密な業種への応用を示唆
1122
Asjad, N. S., Adams, H., Paris, R., Bodenheimer, B.: Perception of height in virtual reality : a study of climbing stairs, Proceedings of the 15th acm symposium on applied perception, 2018.8. (担当:中村恭久)
- 仮想環境内で階段を昇降させ、高さ知覚に影響を与える要素を検証した
- 上下方向の移動量を全体として過大評価する傾向があった
- 自身の足が見える条件や階段が外部に開いた条件で、高さ知覚の誤差が有意に小さかった
1115
Cyberith Virtualizer Elite2 User Manual(担当:吉岡陽介)
- 全方向トレッドミルの導入にともないユーザーマニュアルなどを輪読した
- ゼミ用フォルダで各種ドキュメント、Vizard用サンプルスクリプトを共有
- 使用前には、電源を投入した後にキャリブレーションルーチンを実行する
- 使用後には、電源を落とし、ハーネス・リングを最上位置まで戻しておく
- 週に一回、オーバーシューズの洗浄とプラットフォームの油量補填を行う
- 「ユーザーマニュアル」とは、作り手からの「熱い」メッセージのことです
1108
Zakaria Djebbara, Lars Brorson Fich, Laura Petrini, and Klaus Gramann :Sensorimotor brain dynamics reflect architectural affordances| Vol.116, pp.14769-14778, 2019.7(担当:土岐美穂里)
- 建築経験におけるアフォーダンス操作に関して、脳波(EEG)とVRを用いた調査
- 知覚は感覚的プロセスと身体的行動との間の継続的な相互作用により展開される
- 環境の認識がアフォーダンスや行動そのものの影響を受ける
- 通過する扉幅が広い条件よりも、扉幅が狭い条件の方が扉に近づくまで多くの時間を費やす
1101
Ueda, T., Asano, H., Tsuge, K., Seo, K., Sudo, M., Fukuda, Y., Okuda, Y., Kataoka, K., et al.: Effect of wearing diapers on toddler’s gait, Scientific Reports |, Vol.11, pp.20105, 123AD.(担当:吉岡陽介)
- 湿った紙おむつを着用していることが、幼児の歩行様態に与える影響を調査
- 骨盤(pelvis)と股関節(hip joint)の回転角をモーションキャプチャで測定
- オムツの湿り具合を、折りたたんだ時の反発力(bulk stress)で定量化した
- 既往研究を引用しながら、オムツの着用が幼児の自然歩行を阻害すると考察
1025
Premkumar, P., Heym, N., Brown, D. J., Battersby, S., Sumich, A., Huntington, B., Daly, R., Zysk, E.: The Effectiveness of Self-Guided Virtual-Reality Exposure Therapy for Public-Speaking Anxiety, Frontiers in Psychiatry, Vol.12, 2021.8.(担当:伊能良太)
- 聴衆の前で発表する心理的負荷に対するVRを使用した心理療法。
- 被験者は自主的に社会的脅威の強度を増加させる一方で、不安や緊張の度合いは減少した。
- VRを使用した訓練が、現実空間での心理的負荷を軽減させる可能性について言及。
1018
Zhang, L. M., Zhang, R. X., Jeng, T. S., Zeng, Z. Y.: Cityscape protection using VR and eye tracking technology, Journal of Visual Communication and Image Representation, Vol.64, 102639, 2019.9.(担当:中村恭久)
- 中国福建省の歴史的地区の3Dモデル内で被験者の視線データや発話をプロトコル分析。
- 建築に詳しい人は空間全体を眺めるため注視位置が高くなる。
- 福建省の文化理解度で被験者をグループ分けし、各グループでの興味の対象の違いを分析。
- 多文化の価値観を統合し、人間主体の街路空間を形成するための基礎となる研究。
1011
Wohltjen, S., Wheatley, T.: Eye contact marks the rise and fall of shared attention in conversation., Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, Vol.118,No.37, 2021.9.(担当:吉岡陽介)
- 会話中に瞳孔は周期的に収縮する。話者どうしの注意が共有されると同期する。
- 注意の同期性がピークに達するとアイコンタクトが起こり、同期性が低下する。
- 一連のアイコンタクトが途切れると、逆に、注意の同期性は回復しはじめる。
- アイコンタクトが、注意の共有と個別の思考とのスイッチングに関与にしている?
1004
Jeschke, A. M., de Groot, L. E., van der Woude, L. H. V., Oude Lansink, I. L. B., van Kouwenhove, L., Hijmans, J. M.: Gaze direction affects walking speed when using a self-paced treadmill with a virtual reality environment, Human Movement Science, Vol.67, pp.102498, 2019.10.(担当:吉岡陽介)
- ツインベルトトレッドミルとCAVE(プロジェクションVR)を併用した被験者実験
- トレッドミル上でのDualタスクが歩行速度を低減するという既往知見に対する検証
- タスクを提示する高さが視点高さよりやや上の時に、歩行速度は有意に低減する
0927
Miller, M.R., Bailenson, J.N. :Social Presence Outside the Augmented Reality Field of View, Frontiers in Virtual Reality, Vol.2,No.September, pp.1–9,2021.(担当:土岐美穂里)
- 現実空間と拡張現実 (AR)での視野領域の差(unugmented periphery)について
- AR視野内でのバーチャルヒューマンの見え方を「Social」,「Outside FOV」,「Alone」の3条件で変化させ、タスク正答率の変化への影響を検証
- バーチャルヒューマンの社会的存在感は、「Social」条件が「Outside FOV」条件よりも高い傾向がある
0914
Itaguchi, Y.: Size Perception Bias and Reach-to-Grasp Kinematics: AnExploratory Study on the Virtual Hand With a Consumer Immersive Virtual-Reality Device, Frontiers in Virtual Reality, Vol.2,No.August, pp.1–10,2021.(担当:伊能良太)
- 仮想環境における仮想手を用いたサイズ知覚バイアスとReach-to-Grasp運動の検証
- 物体の種類に関係なく、仮想環境では現実空間より物体を小さく知覚している
- 実際の手が小さい人ほどサイズ知覚バイアスは大きくなる傾向にある
0906
Libraries, B., Askarizad, R., Safari, H.: Investigating the role of semi-open spaces on the sociability of public libraries using space syntax (Case Studies: Sunrise Mountain and Desert Broom Libraries, Arizona, USA), Ain Shams Engineering Journal, Vol.11,No.1, pp.253–264, 2020.(担当:中村恭久)
- 図書館内のsemi-open spaceが建物の社交性に与える影響をスペースシンタックス法で検証
- Depthmapを用いて、平面図のみから社交性に関する様々な指標を評価できる
- semi-open spaceによって空間の統合性(Integration)や接続性(Connectivity)等の評価値が増加
0830
Serino, S., Trabanelli, S., Jandus, C., Fellrath, J., Grivaz, P., Paladino, M. P., Serino, A.: Sharpening of peripersonal space during the COVID-19 pandemic, Current Biology, Vol.31,No.14, pp.R889–R890, 2021.7.
- COVID-19の蔓延阻止のため社会的措置が、パーソナルスペースの形態に与えた影響を検証
- 仮想環境中のある距離に「人の顔」を提示したときの、触角刺激に対する反応速度を抽出
- パーソナルスペースは縮退し鮮明化していた(遠距離では無反応、近距離で強く反応する)
0823
Kopiske, K., Koska, D., Baumann, T., Maiwald, C., Einhäuser, W.: Icy road ahead—rapid adjustments of gaze–gait interactions during perturbed naturalistic walking, Journal of Vision, Vol.21,No.8, pp.11–11, 2021.8.
- 左右のベルトが別駆動するトレッドミルで「スリップ」を再現し、回復期の行動特性を分析
- 1)スリップの強度と2)視覚的手がかりを変数とし、頭部の傾き、視線方向の傾きを計測
- 実験データの図的表現によって、スリップを繰り返し体験することによる効果にも言及
0726
David, E. J., Beitner, J., Võ, M. L.-H.: The importance of peripheral vision when searching 3D real-world scenes: A gaze-contingent study in virtual reality, Journal of Vision, Vol.21,No.7, pp.3–3, 2021.7.
- 注視点座標に応じて提示情報を操作する実験(gaze-contingent study)
- 探索時間(Search time)を、注視特性の違いから準備(Search initiation time)、走査(Scanning time、確認(Verification time)の三つに分けて分析
- 二度見(Target refixation)は実験後の分析からPosthocに導き出された指標
- 探索対象の位置が、周囲環境との親和性が高い場合と低い場合(ConstraintとUnconstraint)では、各種の数値の出方が変化する
0719
松下信禎, 若井正一: 室内通路幅と歩行者の身体周囲に必要なアキ寸法の関係--身体を指標としたアキ寸法の計測に関する研究, 日本建築学会計画系論文集, Vol.76,No.667, pp.1569–1576, 2011.9.
- 机と壁、机と机で構成された通路に必要なアキ寸法を実験的に計測
- 壁と机に囲まれた通路でのアキ寸法は25~32cmとなった
- 机と机に囲まれた通路でのアキ寸法は15~27cmとなった
0712
Kamatani, M., Ito, M., Miyazaki, Y., Kawahara, J. I.: Effects of Masks Worn to Protect Against COVID-19 on the Perception of Facial Attractiveness, i-Perception, Vol.12,No.3, pp.204166952110279, 2021.
- 衛生マスクによる顔の魅力の低減効果が、COVID-19の前後で変化していることを実証した
- 隠蔽(Occlusion)と不健康推定(unhealthness priming)の二要因が効果を引き起こしていたが、
- COVID-19の前のデータがなければできなかった研究、2020年4月(3か月)には研究に着手
0705
Tanaka, Masako: STRUCTURE OF PERSONAL SPACE, The Japanese journal of educational psychology., Vol.21,No.4, pp.19–28, 1973.田中, 政子: Personal Spaceの異方的構造について, 教育心理学研究, Vol.21,No.4, pp.19–28, 1973.→ Link
- パーソナルスペースが前後方向に異方的な広がりを持つことを実験的に検証した
- 「気づまりな感じ」という指標での測定(他の指標であれば異なる結果になることも推定)
- 後に続くパーソナルスペース研究において、常に引用される基礎的な研究成果である
0628
WAKAI, S., TAKAHASHI, T.: MEASUREMENTS OF HEAD CLEARANCE WHILE WALKING UNDER THE LINTELS, Journal of Architecture and Planning (Transactions of AIJ), Vol.59,No.460, pp.103–108, 1994.6.若井正一,高橋鷹志:開口部のくぐり高さと頭上のアキ寸法の関係, 日本建築学会計画系論文集, No.460,pp.103-108, 1994.6. → Link
- 開口部を通過する時の頭上の空間的アキ寸法を実験的に採寸し、その寸法特性を検証した。
- 開口部の高さを、身長に25~30 cmのアキ寸法を加えた高さとすれば「気にならなく」なる。
- 身長と同じ高さの開口部を通過するときの縮み率(縮み寸法/静的身長)は、9%程度である。
0621
Zhang, J., Yang, X., Jin, Z., Li, L.: Distance Estimation in Virtual Reality Is Affected by Both the Virtual and the Real-World Environments, i-Perception, Vol.12, No.3, 2021.5.
- HMDの外の実環境の設えが、仮想環境における距離の推定に影響を与えることがわかった。
- Bisection法とBlind Walking法の2つの手法で,VR環境内での距離の推定精度を測定した。
- Blind Walking法において、屋内よりも屋外でHMDを被るほうが距離が大きく推定された。
0614
Simons D. J. (2010). Monkeying around with the gorillas in our midst: familiarity with an inattentional-blindness task does not improve the detection of unexpected events. i-Perception, Vol.1, No.1, pp.3–6. 2010.6
- ゴリラが登場し、カーテンの色が変わり、選手が一人いなくなる映像。
- ゴリラの登場を事前に知っていて、映像の変化に注意を払っていても、それ以外の予想外の出来事を発見することはできない。
- 視覚的注意には探索の指向性があることを示している(U・ナイサー)
0531
0607
Cohen, M. A., Botch, T. L., Robertson, C. E.: The limits of color awareness during active, real-world vision, Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, Vol.117,No.24, pp.13821–13827, 2020.6.
- 仮想環境で中心視で見ている領域がモノクロになるようにした
- 視環境の大部分から色が消えても気づかないことがわかった
- 注意していても37.5度の外側での無彩色化には気が付けない
0524
Takahashi, K., Watanabe, K.: Seeing objects as faces enhances object detection, i-Perception, Vol.6,No.5, pp.1–14, 2015.10.
- フェイス・パレイドリア=刺激のパターンに「顔」を見出す現象
- 「顔として見ること」が刺激の判別性能を高めることを実証した
- 1つ目の実験を補完するために3つの後続実験が企画されている
0517
Lorenceau, J., Cavanagh, P.: Jumpy and Jerky: When Peripheral Vision Faces Reverse-Phi, i-Perception, Vol.11,No.5, pp.1–5, 2020.9.
- 逆ファイ現象=コントラスト反転による運動知覚(Stuart Anstis)
- 逆ファイ現象を周辺視野でみると不規則の跳躍運動が知覚される
- コントラスト反転が6〜20Hzで強く生じるが30Hz以上では消える
- この錯視の不規則性を説明する理論は今のところない(未解決)
0510
マーク チャンギージー:ひとの目、驚異の進化、早川書房
- 人間の目の能力に関する新説を、四つに分けて解説した書籍
- 色覚(赤と緑の錐体)は、肌の色変化を感覚するために発達
- 森の中で樹葉の先を見透かすために目は横向きについている
- 動体視力は未来を予見(現在を正しく知覚)するために発達
- 文字は人間の環境認識の形式に適合する形で構成されてきた
0426
Leyrer, M., Linkenaugery, S. A., Bülthoffz, H. H., Kloosx, U., Mohler, B.: The influence of eye height and avatars on egocentric distance estimates in immersive virtual environments, in Proceedings - APGV 2011: ACM SIGGRAPH Symposium on Applied Perception in Graphics and Visualization, pp.67–74, 2011.
- 身長設定によって知覚される距離が変化することを示した論文
- Exocentric Distance,とEgocentric Distanceの間に相関があった
- 視点が低い状態でも正しく距離把握できるよう調整されている
- 2011年、Oculus登場による仮想環境ブームが始まる前の研究
0419
YOSHIOKA, Y., MUNAKATA, J., KAWASE, T.: EFFECTS OF DAY-LIGHT EXPOSURE IN RESTING SPACE ON AROUSAL LEVEL AND PERFORMANCE IN WORK PLACE, Journal of Architecture and Planning (Transactions of AIJ), Vol.80,No.718, pp.2815–2822, 2015.12.
- 昼光利用サーカディアン照明を休憩室に適用し、執務室でのパフォーマンスを計測
- サーカディアン照明によって覚醒水準は向上するがパフォーマンスは部分的に低下
- 被験者を長時間拘束し、かつ長期間(4年)にわたって精緻にデータを収集した研究
0412
KOBAYASHI, W., YOSHIOKA, Y.: RELATIONSHIP BETWEEN FEATURES OF UNEVENNESS ON SIDE OF PASSAGE AND MENTAL STRESS OF PEDESTRIANS, AIJ Journal of Technology and Design, Vol.27,No.65, pp.378–383, 2021.2. → Link
- 皮膚電位計を使用し対角歩行者に対する精神的負担を計測
- 1000mmの隅切りで負担軽減、2000mmの隅切りで大幅に負担を軽減できる
- 写真が丁寧(実験者と被験者の位置関係、実験装置の配置、背景など)
0405
SUGIYAMA, T., YOSHIOKA, Y.: RELATIONSHIP BETWEEN BENDING PATTERN OF LEADING PASSAGES AND FEELING VALUE OF CEILING HEIGHT IN HIGH CEILING ROOM, Journal of Architecture and Planning (Transactions of AIJ), Vol.86,No.782, pp.1224–1232, 2021.4.
- 要素位置調整法によって、吹き抜け空間の天井高の感覚量を計測
- アプローチの傾斜によって、吹き抜けの高さ感は変化する
- 文章の記述が正確(リミテーションの記載内容は参考になる)