Reading
基本方針
昼休みの30分を使って一つの論文を輪読
長い論文は続きが読みたくなる程度に紹介
参考文献を共有して議論の下地を醸成する
論文の読み方
論文の構成
論文の選び方
・査読付きの論文を選ぶ(採用決定、Acceptedと記載があるもの)
審査を通っているので一定のクオリティがある(参考文献にしやすい)。
・掲載論文誌で選ぶ
海外のメジャー論文誌・計画系論文集>技術報告集>支部の報告書>>大会梗概
読み方のレベル
・ざっくり読み:概要をつかむ。タイトル → 図 → まとめ → 細部へ
・しっかり読み:詳細を理解する。知らない単語はマークし、あとで調べる。
・批判的な読み:信頼できるか?他の方法は?何がまだわかっていないか?
論文の構成
背景:先行研究の成果を並べ、何がまだ明らかにされていないかを述べる
目的:研究の対象とする問いの限定。結果の予測と適用範囲も何となく示す。
方法:目的を達成するために何を測るか、使用機材、再現できるように丁寧に
結果:計測したデータの推移と統計的な有意差(判断を含まない事実のみ)を記述
考察:結果の解釈のパターンを列挙し、どの解釈が妥当かを記述(先行研究と比較)
文献:本文で言及している文献のみ掲載する。査読付きの論文のほうがよい。
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現実の世界(煩雑で広漠)
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↓ ↑
背景 考察(とまとめ)
↓ ↑
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研究の世界(限定的、でも分析が可能)
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↓ ↑
目的 → 方法 → 結果
論文の言葉遣い(語尾の処理)
事実:
~である。~であった。~ことがわかった。
推測:
~と考えられる(列挙した根拠から論理的に導き出されるニュアンス)
~と推察される(実験結果から論理的に導き出されるニュアンス、中)
~示唆される、(実験結果から論理的に導き出されるニュアンス、弱)
~ではないだろうか(他にも解釈の可能性はあるけれど、、、)
参考:浦上昌則, 脇田貴文:心理学・社会科学研究のための調査系論文の読み方, 東京図書, 2021
背景の書かれ方
背景の役割
「問題の限定」と「用語の定義」
・一般的に理解されやすい疑問から話をはじめる
・既往研究を列挙し重要な課題であることを示す
・タイトルで使われている用語を順番に定義する
・検証する対象と条件を明示し、問題を限定する
既往研究の引用
タイプ1:解決していない問題があることを示す
・吉岡ら1)は、**によって、**を明らかにした。 (著者>手法>知見の順)
・杉山は、*によって、*2)や*3)を明らかにした。 (同一著者で複数の知見)
・鈴木4)や菊池5)は、**し、**を明らかにした。 (複数の論文をまとめる)
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このように、**を調査した先行研究は数多くある。
しかし、**を検証した研究はこれまでになかった。
タイプ2:問題の解決が重要であることを示す
・大島ら6)は、**によって、**を明らかにした。
・河野ら7)は、**によって、**を明らかにした。
↓↓↓
このように、***を調査した先行研究は数多くある。
**の検証と**としての整理が重要であると考える。
タイプ3:研究で採用したい概念や手法を示す
・小林8)は、**の手法によって**を明らかにした。
↓↓↓
小林らの手法(分類)は、**という点で有効である。
本研究でも**を検証するためにこの手法を採用した。
タイプ4:??
参考文献リストの書式:建築学会の仕様
英文と和文の併記
Sugiyama,T., Yoshioka,Y.: Relationship Between Bending Pattern of Leading Passage and Feeling Value of Ceiling Height in High Ceiling Room, Journal of Architecture and Planning (Transactions of AIJ), Vol.86,No.782, pp.1224–1232, 2021(in Japanese)杉山拓哉, 吉岡陽介: アプローチ空間の形状と吹き抜け空間の天井高の感覚量との関係, 日本建築学会計画系論文集, Vol.86,No.782, pp.1224–1232, 2021 (DOI:https://doi.org/10.3130/aija.86.1224)
書誌情報の並べ方 >mendeleyで文献管理しcslを使うと便利 → Link
・著者名:論文タイトル,雑誌名,巻,号,頁,発行年月の順
・「:」「.」「,」「.,」などの記号の使い分けにも注意
Ex.
著者名> 杉山拓哉, 吉岡陽介:
タイトル> アプローチ空間の形状と吹き抜け空間の天井高の感覚量との関係,
雑誌名> 日本建築学会計画系論文集,
巻号頁> Vol.86,No.782, pp.1224–1232,
発表年> 2021
DOI> DOI:https://doi.org/10.3130/aija.86.1224
考察の書かれ方
考察の役割
考察のレベル
レベル1:実験の結果を簡略化して提示
レベル2:結果からわかること一般化
レベル3:既往研究の結果との比較?
レベル4:適用範囲と意義
レベル5:リミテーション
過去の輪読会で紹介された論文のまとめ
重要文献リスト
他の感覚に対する視覚の優位性について実証的に論じた論文
Posner, Michael & Nissen, Mary & Klein, Raymond: Visual dominance: An information-processing account of its origins and significance. Psychological review. 83. 157-71. (1976) DOI: 10.1037/0033-295X.83.2.157
Suggests that in many situations, visual input tends to dominate other modalities in perceptual and memorial reports and in speeded responses. Visual dominance appears to be related to the relatively weak capacity of visual inputs to alert the organism to their occurrence. In response to this reduced alerting, Ss tend to keep their attention tuned to the visual modality. This bias works via prior entry to allow vision to control the mechanisms that subserve conscious reports. Recent empirical data are presented, and it is concluded that the study of visual dominance provides a model situation in which chronometric and phenomenological techniques can be brought together to produce a more complete picture of the relation between information processing and awareness. 視覚入力は、認知や記憶に関する反応において他の感覚よりも優位で支配的である。この優位性は、視覚の警告能力が弱いことに起因しており、これによって、意識的反応を制御するメカニズムが視覚を優先するようになっていると考えられる。視覚に関する研究は情報処理と意識の関係を統合して理解するための有効なアプローチである。