吉田 瑛透

ベッドサイドナーシングの充実に寄与する病棟環境に関する研究

本研究では、患者受け持ち制を実施していた病棟が、エリア受け持ち制に変更した場合において、システム変更前後の看護師の追跡調査を実施し、看護業務の変化を明らかにすることを目的とする。また、動線短縮を目指した新設病院の設計目標と看護システムとの関係性を明らかにし、病棟諸室の配置計画や利用の仕方が看護業務に与える影響に関する知見を得ることとした。

急性期病院における病棟の計画目標は、ベッドサイドナーシングにおける看護時間の確保や、看護負担を減らすことがあげられる。そのため、建築設計上では「看護動線の短縮」と「看護拠点の分散化」などが試行錯誤されている。一方で、看護師は各病院の理念に基づき、それぞれが目指す看護を達成するための看護システムを採用し、最も効率的な看護サービスの提供に努めている。既往研究より、看護システムの一つである患者受け持ち制では当日の担当患者が点在している現状が明らかになった。さらに、患者受け持ち制からエリア受け持ち制に看護システムを変更するシミュレーションの結果、①看護師の業務量や負担感の偏在を回避、②ベッドサイドナーシングと「気づき看護時間」の増加、が期待できることがわかった。これによって、A病院では実際にエリア受け持ち制への看護システムの変更が実施された。

解説動画:ベッドサイドナーシングの充実に寄与する病棟環境に関する研究 10min

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